30-3 思い立つ時間がおかしい
居間のこたつでテレビを見ながら
家族でくつろいでいると、「お母さん!
クッキー作りたい!」と急に思い立つ高校生の
娘がいます。「クッキーなら食器棚のところに
買ってあるよ」と応戦しますが、
食べたいわけではないのです。
「作りたい」衝動にかられるようで、それもいつも
夜の11時ごろ…もうそろそろみんな寝ようね~
という時間になって。「明日にしたら!?」「材料ないし」
「歯磨きしちゃったし」などなどの静止はほとんど聞かず、
毎回夜な夜なクッキー作りは断行されていくのです。
この変な行動は娘が中学生のころから時々あって、
そのころは作り方もわからなかったので、一人で作ることはなく、
結局、母も付き合うことに。高校生になってからは
手馴れてきたのか一人で11時頃からガチャガチャとスタート。
日付を回ろうかとするころに、部屋中に甘く香ばしい
クッキーの匂いが広がっていきます。もちろん、母の目は眠くて
半分閉まりかけです。そんなこと気にも留めない娘は
ノリにのってきたのか、「アイシングで絵を描く!」と言い出す始末。
そこからアイシングを作って、描いて、乾かして…。
満足した娘はその残り香の中眠りにつくのです。
翌朝待っているのは、散乱したアイシングや粉だらけのボウルたち…