30-24 おそば屋から出前を取った思い出
“デリバリー”という言葉が
日本で広く使われるようになったのは
20年くらい前からでしょうか。
私が初めて“デリバリー”という言葉を耳にしたのは、
ピザのTVコマーシャルだったと思います。
デリバリーと同じ意味で、
古い言葉だと「出前を取る」という
言い方をしていました。
子どもの頃、半年に1度くらい
ときどき祖母が「出前を取ろうか」と
言う日がありました。
当時住んでいた田舎の町で、
出前を取ることが出来るお店は
1軒のおそば屋だけだったと思います。
祖母が「出前を取ろうか」という時は、
そのおそば屋に頼むと決まっていました。
我が家へ料理を届けてくれるのは
いつも同じお兄さん。
本当に愛想の良い人でした。
子どもながらにその姿を見て、
「この仕事が好きなんだろうな。
それに、すごく合ってるな」と思った記憶があります。
ふと気になって、
ネットでそのお店を検索してみました。
あった!!!
お店の場所も、店名も、昔のままです。
あの頃に配達してくれたお兄さんが
当時25歳~30歳だったとしたら、
それから30年が経っているのでもう60歳くらい。
今の私が直接お店へ行くことは出来ませんが、
変わらずお元気でいて欲しいと感じます。
そして、そのおそば屋が人々から長く愛され、
歴史をつないでいることに
じんわりとした喜びがありました。