30-17 取っておきたくなる誇らしい仕事
私が子どもの頃、母は
雑誌の編集者として働いていました。
取材をして、文章を作って、
楽しそうに仕事をしていた記憶があります。
そして、年数の経過とともに
家の本棚には母が携わった雑誌が
どんどん増えていきました。
「これどうするの?読み返すことはあるの?」と
聞いても、返事はいつも曖昧です。
読み返すことが無いのなら、
わざわざ取っておく必要は無い気がします。
今になって振り返ると、母にとっては
自分が製作に関わった雑誌が増えていくことに
誇りを感じていたのだと思います。
東京都目黒区にある“庶民文化研究所”では、
約50年前からいろいろな種類の
“納豆ラベル”を保管しているそうです。
その数が今では4,000枚を超えるほど。
時代を反映したイラストが描かれているもの、
アニメのキャラクターが登場したもの、
ご当地納豆ならその土地のアピールポイントを
見ることが出来ます。
納豆ラベルを集めているスタッフの方が
その作業をとても楽しんでいる気持ちが伝わってきます。
日々、我が家では何も考えずに
納豆ラベルを捨ててしまっていたので、
なんだか少し申し訳ない気持ちになりました。
きっと、その納豆ラベルを製作した人達は
それが庶民文化研究所で大切に保管されていると聞いたら、
あたたかい気持ちになるのではないでしょうか。
自分が携わった雑誌を、
何冊増えても大切に保管していた母を思い出します。
仕事に誇りを持つことの、喜びがあるのだと思います。