30‐23 明治時代の船で生まれたドライカレー
カレーといえばインド発祥のものとして
世界で広く知られていますが、
ドライカレーに限っては
日本が発祥地だといわれています。
ドライカレーは今から100年も前、
1910年頃のことです。
当時の日本は明治時代、
海外との貿易がどんどん拡大していました。
その頃、日本郵船の“三島丸”という船に乗っていた
料理人がカレーをアレンジして
ドライカレーが作られたといわれています。
とはいえ、インドにはもともと挽き肉を使った
“キーマカレー”というメニューが存在していました。
キーマカレーとドライカレーの違いを考えてみても、
なかなかピンとくるものが思い当たりません。
“キーマ”とは「細かいもの」という意味のヒンドゥー語です。
そして、インドではスープ状のカレーでも
挽き肉を使っていればキーマカレーと呼んでいます。
そう考えると、ドライカレーは
数あるキーマカレーのうちのひとつとも
考えられるようです。
船に乗っていた料理人が考えたのであれば、
海の波でテーブルが傾いた時でも
こぼれにくいことに利点を見出したのかもしれませんね。
100年経っても愛される味となったことは、
その料理人にとっても誇らしいはずです。
さらに、船の上だったり、海を見ながらだったり、
日常とは違う環境で食べるドライカレーは
深い味わいがあったのだろうと想像できます。